最低限知っておくべきことをまとめたい

『シーリング』について何を知っていますか?

「人気の科はなれる人数が絞られてるらしい」
「都会に行きたいなら早めに対策した方がいいかも」

なんとなく知ってはいるけれども、「かも」とか「らしい」の知識にとどまっていて、「進路を考えるときになったら調べよう」という考えの方が大半だと思われます。

この記事は詳細に解説することを目的としておらず、あくまで専攻医になるにあたって、『シーリング対策』として知っておけばよい、知っていたら面白いくらいのレベル感を目指しています。

最低限知っておくべきことだけを見たい方は、≪3つの知っておくべきこと≫の項目から読んでください。

シーリング制度の簡単な歴史

シーリング制度は、2018年度に専攻医になる医師を対象として始まった比較的新しい制度です。

それまでは、各学会が独自の方針で専門医制度を設けて、運用していました。“専門性の質の担保”、“国民にとってわかりやすい仕組みづくり”、“医師の地域偏在”、“診療科の偏り”(後者2つがメインの理由な気がします…)という問題に対して、日本専門医機構を設立し、新専門医制度が開始されました。

それに伴い、「専攻医の採用人数の上限を設定する!」とシーリング制度が設けられたのです。

どんなふうにシーリングの仕組みが更新されているのか

専門医機構内での検討および厚生労働省での医道審議会(医師分科会医師専門研修部会)での議論に基づいて、来年のシーリングの方式などが決定していきます。

直近だと、2026年度の募集に当たって
・より多くの指導医の派遣を行っている場合に、採用人数を増やす
・直近過去3年間の平均採用数が上限に(これまでは地域特別連携プログラムは上限の外だった)
・通常募集プログラムの基本数の計算方法を『人口』当たりで計算に変更
などなどが検討されたり、決定していたりします。

令和8年度のシーリングの設定方法(理解するのは難しいので積極的にはしなくても...)
令和8年度のシーリングの設定方法(理解するのは難しいので積極的にはしなくても…)
指導医を派遣していることによる各科と都道府県の採用人数加算数①
指導医を派遣していることによる各科と都道府県の採用人数加算数①
指導医を派遣していることによる各科と都道府県の採用人数加算数②
指導医を派遣していることによる各科と都道府県の採用人数加算数②

3つの知っておくべきこと

どんな背景があって、どんな計算方法があって、シーリング(人数制限)が行われているのかは、正直専攻医になるうえでは、そこまで重要ではありません。

私が考える、専攻医になるうえで最低限知っておくべきことは3つです。

①自分の科と地域がシーリングの対象なのか
令和7年度に募集される専攻医(令和8年に専攻医になる医師)に対してのシーリング対象の診療科と対象の都道府県は、次の通りです。

内科:東京都、京都府、大阪府、和歌山県、鳥取県、岡山県、徳島県、福岡県、長崎県、熊本県
小児科:東京都、滋賀県、京都府、岡山県、長崎県
皮膚科:東京都、神奈川県、京都府、兵庫県、福岡県
精神科:東京都、石川県、岡山県、福岡県、佐賀県、熊本県、沖縄県
整形外科:東京都、石川県、京都府、大阪府、和歌山県、福岡県、長崎県、熊本県
眼科:東京都、京都府、大阪府、兵庫県、福岡県
耳鼻咽喉科:東京都、愛知県、京都府、大阪府、兵庫県、福岡県
泌尿器科:京都府、大阪府
脳神経外科:東京都
放射線科:東京都、京都府、大阪府、岡山県、福岡県
麻酔科:北海道、東京都、京都府、大阪府、岡山県、福岡県、長崎県、沖縄県
形成外科:東京都、大阪府、兵庫県、福岡県
リハビリテーション科:東京都

東京都、京都府、大阪府、岡山県、福岡県が5領域以上でシーリング対象の都道府県となっていました。
脳神経外科やリハビリ科は少ないイメージだったので、意外ですね。

※2025/08/11時点では令和8年度募集のシーリング対象の都道府県
診療科の選定はまだ行われていません

②シーリングの枠の仕組み
専攻医になるために、〇〇大学の△△科がいいなーとおもっても、その年の募集人数は、見学に行っているくらいの時期は、医局長も教授も来年度に何人採用できるかはわかっていません(例年からおおまかにはわかっていると思いますが)。

そこで知っておくべきことは専門医機構がどういった枠を専攻医に対して用意しているのかです。
現在は大まかに3種類の枠が在ります。以下の図を参考に、簡単にまとめると、

A. 通常募集プログラム:基本領域プログラムの要件に基づいて病院異動はあるが大きな縛りはなし

B. 連携プログラム:シーリング対象外の都道府県に1年半行くorシーリングとまではいかないけど、医師が足りていない都道府県に1年半以上行く

C. 特別地域連携プログラム:特別地域連携プログラム:医師がすごく少ない都道府県の中でも、さらに医師が少数の指定の地域・病院に1年以上行く

これまでは、特別地域連携プログラムを使えば、予定されていた枠に加えて採用ができていましたが、今後は予定されている枠内になってしまったので、より地方に飛ぶ期間が生じる可能性が高まりました。

医道審議会 (医師分科会医師専門研修部会) 20250130より
医道審議会 (医師分科会医師専門研修部会) 20250130より

③毎年変わるということ
大切なのは仕組みが毎年変わるということです。それを意識できているかがポイントです。

今後、シーリング逃れ(6か月間のみ地方で2年半は東京)や東京近辺の千葉や神奈川、埼玉の医師の増加などは取り沙汰されることが想定でき、首都圏や大都市での医師の採用を絞る動きはますます強くなると思われます。

重要なトピックや変化には、ついていけるようにしておきましょう。

さらに詳しく知りたい人は

厚生労働省の資料やgemmedの記事が参考になります。

また日本眼科学会が効果について「シーリング対象地域であぶれた専攻医がその周辺の都会に流れているという状態で、本当に増えてほしい地域に専攻医が移動しているとは言い難い状況」と述べているのは印象的でした。

対話は、キャリアの主食。

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