小児科と他の専門科の違いは?と聞かれたら、皆さんどう答えますか?
「小児科は子どもを診るところ、それ以外は成人を診るところ」という答えは大雑把ですが、間違ってはいませんし、シンプルで分かりやすいと思います。
ですが、本当にそれだけでしょうか?
そこで、今回は少し視点を変えて、小児科の持つ“数字”に注目してみようと思います。
施設数や医師/患者数など、絶対的なデータを比べることで、小児科の特徴を探ってみましょう。
なお、この記事では、一般病院 と 診療所 という分類を用いますが、それぞれの定義は以下の通りです。
一般病院:20床以上の病床を有する医療施設のうち、精神科病院を除くもの
診療所:0-19床の病床を有する医療施設
①施設数

令和5年10月1日時点で、日本には小児科を標榜する病院が2,456施設あります。これは全体7,065施設の約1/3にあたり、診療科目別にみると上から14番目の数字にあたります。

一方で、小児科を標榜する診療所に焦点をあてると、1万7,778施設存在し、1位の内科(6万4,747施設)に次いで2番目に多いです。
ここで、診療科目別に、一般病院と診療所の割合を比べてみます。小児科全体に対する診療所の割合は87.86%で2位でした。下のグラフを見てみると、確かに診療所の割合(オレンジ)が50%を超える診療科が多いですが、小児科と内科は突出して割合が高いことがわかります。

つまり、小児科は診療所など小規模で展開されている場合が多く、地域のかかりつけ医としての役割が大きいのではないかと考えられます。
ただし、小児科を標榜する一般病院・診療所はいずれも減少傾向にあり、特に診療所に関しては、ここ3年で約1,000施設も減少しています。少子高齢化が進む日本において、この流れは今後とも続いていくとみられ、今回紹介した割合や順位も大きく変動する可能性があると思います。
②主たる診療科別医師数
令和4年12月31日時点で、全国で届け出がされた医師34万3,275人のうち、主として従事する診療科が小児科であると答えた人数は、1万7,781人でした。これは、臨床研修医を除くと、内科(6万1,149人)、整形外科(2万2,506人)に次いで3番目に多くなっています。施設の内訳は、病院が1万1,030人、診療所が6,751人です。
平均年齢は51.0歳と、全体平均51.3歳とほぼ変わらない一方で、性差には特徴があります。男性全体に対する小児科医の比率は4.5%で6位であるのに対し、女性では8.4%で2位という結果が出ています。男女それぞれの総数(分母)が分からないため、「小児科は他の科に比べて女性の比率が高い」とは言い切れませんが、少なくとも「小児科は女性に選ばれやすい科である」ということが分かります。
③週あたり勤務時間

2019年度の調査によると、病院・常勤勤務医の週当たり勤務時間は、小児科で54時間15分で、全診療科平均から約-2時間とやや短い結果となりました。しかし、各診療科を見てみると50-60時間が多く、小児科は極めて中間的な立ち位置にあると考えられます。
次に、患者側の指数も見ていきます。
④患者数
令和5年度の在院患者数は、一般病院で2万5,491人(10位)、診療所で60人(17位)でした。また、外来患者延数は、一般病院で128万7,113人(8位)、診療所で326万1,411人(3位)となっています。ここで、医師一人当たりに診る外来患者数を単純計算してみると、一般病院は116.69人、診療所では483.10人となりました。これは、施設数TOP15の専門科のうち、それぞれ13位、11位にあたる数値です。すなわち、小児科は、医師一人当たりに診る外来患者数が比較的少ない診療科であるといえるでしょう。
⑤平均在院日数
この指数は、国が発表しているものではないので、いくつかの大学をピックアップしてみました。
例えば、東京科学大学病院(旧:東京医科歯科大学病院)は、2023年度の調査で、小児科の平均在院日数が9.2日との結果を報告しています。これは、全体の平均10.7日に比べて短いです。
一方で、同じく2023年の長崎大学病院では、平均12.0日となっており、これは内科(14.1日)、外科(12.6日)と比べてもそれほど差はないといえます。
では、市中病院ではどうなのでしょうか?
島根県立中央病院のデータ(2021年度)によると、平均3.1日であり、全体平均12.0日より圧倒的に短くなっています。
また、千葉労災病院の調査(2024年度)でも、平均4.9日と、全体平均9.6日の約半分であることが分かっています。
他にもいくつかの病院を調べてみましたが、平均10日未満の場合が多く、全体的に短めな印象を受けました。
これらの数字から見えてくるのは、小児科が単に「子どもを診るところ」である以上に、「地域に根差しながら、子ども一人ひとりに丁寧に向き合う場」であるということです。
このように、客観的な数字を見ることは、知らなった診療科の実態に気づくきっかけになるかもしれませんね。
![数字で読み解く小児科の特徴[小児科企画]](https://onedoctor.net/wp-content/uploads/2026/07/rectangle_large_type_2_0e70043f7720621b6d38c37674f56691-1200x670.png)