小児医療に関心を持った時、浮かび上がってくる疑問の一つに「どんな病院で働けるのか?」というのがあるかもしれません。小児医療に関わる施設は数多くありますが、それぞれがどんな役割を担って、子どもたちの命を守っているのかというのは意外と知られていないのではないでしょうか?
今回は、小児科医療を提供する医療機関について、定められた4つに分類に基づき、それぞれの特徴と役割をまとめてみました。実習や見学前の予習として、ぜひ参考にしてみてください。
小児医療体制について
日本における小児医療の体制には、主に「厚生労働省の指針に基づいて都道府県が策定する医療計画における定義」と、「日本小児科学会が提案する定義」の2つがあります。今回は、後者に注目していきます。
小児科学会が定める4分類は以下の通りです。
①一般小児科
②地域振興小児科
③地域小児医療センター
④小児中核病院

この図に示されているように、①から④にかけて、だんだんと規模が大きくなっていくイメージです。
それでは、1つずつ詳しく見ていきましょう。
①一般小児科
地域に根差した一次医療を担い、いわゆる“町のお医者さん”として、新生児から思春期まで幅広い患者さんを診察します。
具体的には、○○子どもクリニックや地域の総合病院小児科がこれにあたります。ちょっとした風邪や発熱、ワクチン接種など、日常でよくみられる症状や予防医学に対応しており、皆さんも一度はかかった経験のある方が多いのではないでしょうか?
2023年度の調査[1]によると、小児科を標榜する一般診療所だけでも17,778施設あるとされており、他の3分類と比べて桁違いの数です。このことからも一般小児科が、いかに身近な存在であるかということがわかります。
②地域振興小児科
この分類は、より詳しく『地域振興小児科A』と『地域振興小児科B』の2つに分かれます。
地域振興小児科Aは、中核病院小児科や地域小児科センター(ともに後述)がない地域で最大の病院小児科です。隣の医療圏に行くにも車で1時間以上かかるような、医療アクセスが限られたエリアに設置されています。例えば、長崎県のような離島が多い地域では、本土からの移動に時間がかかる地域が多く、計4つの地域振興小児科Aが重要な役割を果たしています。
また、常勤医師は3名を目標としており、小規模な入院病床を有して一次〜二次医療を担う立場にあります。さらには、必要に応じて、地域小児科センターと協力して小児救急医療や新生児医療を行うこともあります。2020年度の調査[2]によると、全国で114病院が登録されているようです。
対して、地域振興小児科Bは、中核病院小児科や地域小児科センターがある医療圏においてそれらを補助する役割を持ちます。小児救急医療や新生児医療、障害児医療、サブスペシャリティ研修など、幅広い役割を担い、2020年時点[2]で、229病院が登録されています。
千葉県のような面積が広い地域には多く存在する一方で、東京都や大阪府といった都市部には、地域振興小児科A・Bいずれも存在しません。つまり、特に医療資源が限られている地方に暮らす子どもたちに対して必要な医療が届けられるよう、奮闘しているのが地域振興小児科だといえると思います。
③地域小児科センター
二次医療圏に1カ所以上存在し、一般小児医療では対応が難しい患者に対して、より専門的な医療を提供する施設です。24時間365日入院・二次救急患者の受け入れを行っており、MRI検査や人工呼吸管理といった、高度な診断・検査・治療を行えるというのが特徴です。
よって、重度喘息発作や肺炎、けいれん重積状態など、短期間の入院加療を要する症例が多く搬送されてきます。
また、教育機関としての役割も担っており、地域小児科センター以上の高度医療機関では、小児科専門医の育成およびサブスペシャリティ研修も行われています。例としては、入院可能で常勤小児科医がいる地域の総合病院や、小児救急医療拠点病院、地域周産期母子医療センターなどが挙げられます。
と、ここまで定義をまとめてきましたが、全国で登録されている397施設(2021年時点[3])全てが、この条件を満たしているわけではないというのが現状です。常勤小児科医9名を目標としているのに対し、実際の数は平均8.6名(中央値7名)と、半数以上の施設で目標に届いていないことがわかります。小児・新生児に対する24時間365日の二次救急医療を実施しているのも6割強となっており、定義との乖離が見受けられます。しかしながら、約250の施設において、年間500人以上の新規小児入院患者を受け入れており、二次医療の中心的存在であることは間違いありません。
④小児中核病院
最高度の医療を担う三次医療圏に1カ所存在するのが小児中核病院です。地域小児科センターの機能に加え、三次救急医療および集中治療を提供するほか、常勤医師の派遣機能も持ち合わせています。
したがって、重症外傷や中枢神経疾患など、ただちに救命措置が必要な状態にある子どもや難治の先天性疾患を持つ子どもを多く診ることになります。
大学病院、国立成育医療研究センターのような小児専門病院が代表にあげられ、全国でも119施設(2020年時点[2])と他の分類に比べて、数が限られています。小児科専門研修基幹施設としても、約6割は小児中核病院に属しているため、この機能を知ることは、小児科医になるためのはじめの一歩といえるのではないでしょうか?
このように小児科と呼ばれる医療施設には、対応疾患や規模によって4つに分類されており、それぞれの役割をもって、地域小児医療に貢献しています。まずは一度、皆さんの地元の医療機関がどの分類に当てはまるのか、調べてみてください!
〈参考資料〉
[1] https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/iryosd/23/dl/11gaikyo05.pdf
[2] https://www.jpeds.or.jp/uploads/files/202205teikyo_tyousa_houkoku2019_2020.pdf
[3] https://www.jpeds.or.jp/uploads/files/20240521_teikyo_hokoku.pdf
![子どもを診る病院ってどんな種類があるの?[小児科企画]](https://onedoctor.net/wp-content/uploads/2026/07/rectangle_large_type_2_9e8e905642257ebc627956da71f86301-1200x670.png)